――楽譜を読む力を、AI音楽制作につなげてみた
きっかけ:バンドスコアは「演奏用」だけのもの?
バンドスコアというと、
「楽器が弾ける人のためのもの」
「演奏の再現用資料」
というイメージが強い。

正直に言えば、僕も長い間そう思っていた。
実際、ギターを挫折した経験もあって、
スコアを見ても「読めるけど弾けない」という状態で止まっていた。
でも最近、AI音楽(Sunoなど)を触る中で、
ある疑問が浮かんだ。
バンドスコアって、
“曲の設計思想”が文章で書いてある資料なんじゃないか?
もしそうなら、
「弾く」代わりに
AIに渡して再解釈させることもできるのでは?
そう考えて、実験してみることにした。
今回使った情報は「楽譜」よりもコメント
今回AIに渡したのは、以下の2種類の情報だけ。
- バンドスコアに書かれている
パート別コメント(Guitar / Bass / Keyboard / Drums) - サビ部分の楽譜写真(構造とノリの参考用)
重要なのは、
コード進行や音符を正確に入力していないという点。
あくまでAIには、
- この曲はどんなグルーヴなのか
- 各パートが何を意識して演奏されているのか
- バンドとしてどこが一体になるのか
という「言語情報」だけを整理して渡した。
AIに渡したプロンプトの考え方
試しにPoppin’Partyの代表曲「Happy Happy Party」を題材にsuno用のプロンプトをつくってもらった。

プロンプトを書くために渡した情報は、スコアブックの各パート別のコメントとサビの楽譜の写真1枚。
AIはそこから
- 明るくて高揚感のあるガールズバンド
- 16分カッティング主体のギター
- オクターブ多用で動きの激しいベース
- ディスコビート寄りのドラム
- オルガンとピアノが役割分担するキーボード
といった
音楽の構造や雰囲気を読み取って、プロンプトを作成した。それが以下のプロンプトだ。
Style: Energetic Japanese girl band pop rock with disco and funk elements.
Tempo: Medium-fast, danceable groove.
Mood: Bright, uplifting, celebratory, slightly nostalgic.
Arrangement:
- Funk-style rhythm guitar with 16th-note cutting and clean tone.
- Lead guitar plays a catchy main theme introduced early and repeated in the chorus.
- Bass features active octave phrases that drive the groove.
- Drums use disco beats with hi-hat off-beat emphasis and rhythmic variations.
- Keyboard combines organ stabs for unison hits and piano backing with occasional melodic fills.
Structure:
- Clear intro with instrumental hook.
- Verses with rhythmic tension and groove.
- Explosive chorus designed for group vocals and sing-along energy.
- Strong sense of ensemble playing, all instruments locking together on key accents.
Vocals:
- Female Japanese pop-rock vocal style.
- Cheerful, youthful, and expressive.
- Chorus emphasizes unity and excitement.
Production:
- Clean but lively band sound.
- Emphasis on rhythm and groove rather than heavy distortion.
- Designed to feel like a live band performance.
AIは「同じ曲」ではないが、
確かにその曲を通過した音楽を返してきた。
Sunoで生成してみた結果(歌詞はなしだが、勝手にchorusをつけてきた)
実際の曲がこちら。

聴いた瞬間に感じたのは、
- ガールズバンドらしい可愛らしさ
- こぎみのよいギター
- Happy Happy Party のウキウキするような曲調
これは正直、予想以上だった。
「コードが合っているか」ではなく、
ノリが合っているかという意味で、
かなり高い精度だったと思う。
気づいたこと:バンドスコアはAI向きの資料
今回の実験で一番大きかった気づきはこれ。
バンドスコアは、
**AIにとって非常に読みやすい「音楽の設計書」**だった。
理由は明確で、
- 専門的すぎない日本語
- パートごとの役割が明示されている
- 「どう弾くか」ではなく「どう聴こえたいか」が書かれている
これは、人間が読むための親切さでもあり、
AIが理解するための構造にもなっている。
「弾けない」は、もう弱点じゃない
かつての自分は、
- 楽器が弾けない
- 理論が弱い
- 作曲が続かなかった
という理由で、
音楽制作から離れていた。
でも今は違う。
- 設計は自分がやる
- つなぎや再現はAIがやる
- 判断と選択は自分がする
この役割分担ができるなら、
バンドスコアは良質なインプット素材になる。

まとめ:楽譜は「読む」だけで終わらせない
今回やってみて思ったのは、
- バンドスコアは演奏者だけのものじゃない
- 作曲者・分析者・AIユーザーにも使える
- 「曲を理解する力」を鍛える教材として優秀
ということ。
もし、
- AI音楽をやってみたい
- でもゼロから考えるのはしんどい
- 好きな曲の雰囲気を掴みたい
そう思っているなら、
一度バンドスコアをAIに渡してみてほしい。
楽譜を“弾くための紙”から、
音楽を考えるための言語として使うと、
世界が一段広がる。
――楽譜は、まだまだ捨てるには惜しい。

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